20170919_29°C

 

 

Coffee.



一年前に買った黄色のスカート。

数か月前まで着ていたグレーのワンピース。

みずいろのスニーカー、ぺたんこのサンダル。

くまの表紙の手帳、ぽっけがたくさんあるリュック。

 

 

もう、今の自分には遠い。

 

一か月前の、Tシャツにゆるいパンツ、サンダルでアイスを食べながら歩く昼休みが大好きだった。

朝も昼も夜も全部をちゃんと生きてる実感があって、背負うものが大きくてもその覚悟が自分を強くしてくれた。

 

 

ないものねだりにもほどがある。

 

 

あれだけお金をかけてもプラマイゼロだったんなら、やった意味は何だったんだと思い返すだけでひりひりする。

なのに、どうしてこんなに悔しいんだろう。

どうしてこんなに、物足りないんだろう。

 

 

今月、人生で初めて就職をした。

両親が喜ぶような名の知れた企業だった。ただ、わたしがすきなことを選んだ時や応援してくれる時と同じ反応だったことに、後になって気づいた。

どっちでもよかったんだ。

どっちでも、わたしが選んだことを応援してくれることには変わりなかったんだろう。

 

 

 

*

 

 

大事にしているものを、粗雑に差し出して、ネタにした。

気に入られるためなら、環境に馴染めるためなら、何でもいいと思った。

 

だけど、実際はネタにもならなくて、周りにとってはもっと別のものの方がずっと面白くて、価値のベクトルがびっくりするほど違っていた。

 

ほんとうは馴染めないんじゃなくて、馴染むのが怖いのかもしれない。

馴染もうとしてないのかもしれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

20170806_33°C

Reflet loupe

 

人生で初めてコンタクトレンズを買った。

あまりにもつけるのが怖くてへたくそすぎて、眼科のひとに呆れられた。

 

 

眼鏡をかけていないのにかけているときくらいよく見える。

自然に見えているから、どかんっとびっくりはしなかったけれど、歩けば歩くほど周りがよく見えていつも以上にきょろきょろして歩いてしまった。

 

 

自転車に乗って通り過ぎる人がピザの袋をぶら下げているのがわかる。

歩いている人がどんな表情をして、どんな顔なのかがわかる。

後ろ姿でも性別がわかる。

 

これはすごいな。

 

なんといっても一番感動したのが、写真で見るような月のクレーターが、めがねをかけずにくっきりはっきり見えたこと。

 

裸眼で見てるみたいで、本物じゃないみたいで、久しぶりに見る月にしばらく釘付けだった。

 

今日はいろんなことを考えすぎて、頭が使い過ぎた電子機器みたいに熱っぽいので、早く寝よう。

 

 

 

 

 

 

久しぶりのおやすみBGM

Never Grow Up

Never Grow Up

  • provided courtesy of iTunes

 

20170722_33°C

life


ラムネのしゅわしゅわ、みんなの分のポカリを入れたビニール袋、ミルクの匂いがする夏の空気。
風鈴のつめたい音に、バイクのミラーに映る入道雲。

 

歩いても歩いても夏すぎる。

 

 

夕暮れ時、公園のベンチで本を読んでいたら、蚊にたらふく血を吸われた。

叩き潰そうと意気込んでみたものの、お邪魔しているのは自分だったと我に返ってしぶしぶ諦めた。

 

隣のおじいさんがラジオを聞いている。

ときどき、電車の車輪と線路が交じる音も聞こえる。

 

 

 夜は東京に仕事で来ていた父とごはんを食べた。

家族のすごいところは、どれだけ久しぶりに会っていても全くその感じがしないところだなあと思う。

 

 夏が終わるころには、この暑さも惜しく感じるのかな。

 

 

 

20170717_35°C

すきな道を、自分で選んだ道を歩いているのに。

なんて甘いんだろう。

 

 

一年前も、迷ってた。

二年前も、三年前も、ずーっとずっと、迷いながら、目の前の道を進むしかなかった。

 

でもそれが前なのか後ろなのかも、分からなかった。

 

 

morning

 

 

やっぱり裏切るような行為なんだろうか。

 

がっかりする人に対して、わたしは説得力ある返しができるだろうか。

 

 

 

 

20170716_35°C

 

 

 「いろいろ、苦労があるのね。」

 

感動して私が言うと、

 

「まあね、でも人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。あたしは、よかったわ。」

 

と彼女は言った。

 

 

-『キッチン』吉本ばなな

 

 

 

Late Breakfast

 

 

 

色褪せた紫陽花、雨の代わりに降り注ぐ夏の粒々、ビーチサンダルの地面を跳ね返す足音。

夏だ。あつい。どこまで進んでも夏だ。おかしい。スーパー猛暑、なんてネーミングセンスだ。でもここまで暑いと、まぬけな響きも受け入れてしまうほど頭がくらくらする。

 

 

高校の同級生が亡くなって6年が経つ。

不思議なくらい涼やかで気持ちのいい風がまつげに触れたのを、昨日のことのように思い出した。

6年前はこんなに暑い日があったかな。

感じている以上に、19歳のあの子と今の自分には長い時間の隔たりがあることに気づく。

 

同じいのちはひとつたりとも存在しない。

だから、これからも経験したことのない別れを何度も経験するんだろう。

 

だけど、悲しいことばかりじゃないんだと思う。

胸が引き裂かれる思いを何度しても、どこまで歩いても世界の淵まで悲しみに浸されていても、長い夜につまずいて苦しみから逃れることができなくても。

 

それはすべて愛なんだと気づくことができれば、何度だって前を向ける。

何度だって、転ぶことを恐れずに進める。