春食い虫
むしゃむしゃと平穏な日常を食い散らした「やつ」。
もう6月だけど、まだ6月だ。
4月はじゃぶじゃぶ雨降るわ、5月はむしむし汗ばむわ。
春を栄養にして生き延びる虫が世界のどこかにいるに違いない。
じゃなきゃこんなに暑いわけない。うー。暑いのは苦手。
夏の風物詩、海。
わたしは未だこの地球の羊水につかったことが人生で一度もない。
初めて見たのも数年前だったから、「うわ、こんなたくさんの水の塊が知らない場所にあったのか」とだいぶびっくりした。
自分がごはんを食べている時も友だちと喧嘩している時も
見えてなかった今までも、この水の量がふよふよと
同じ地球には存在してたわけで。
そう、こんなにあるのに。
たくさんあれば見えるってもんでもないのは分かる、分かるけど分からない。
だから今でも海を見ると変な気分になる。
「え、ほんとにずっとここにいた?」って聞きたくなる。
そんな不思議な存在だから、入ってみたらもっとすごいんだろう。
カナヅチだから入りたいとは思わなかった、けど。
たまたま知り合いの方に勧めてもらった一冊の本。
びっくりした。
自分の感覚を言語化されているような気恥ずかしさすら感じた。
潜在的に取り出しづらくなっていた感性をも思い出させてくれる文章。
この本の中に著者の海に入るエピソードがあって、「ああ、どうやら中も不思議な世界なんだな」とソワソワ。
誰にでも教えたくはない、だけど特別なひとにこっそり教えたい。大切なことがぎゅっとつまった一冊。