神さまのマリオネット
なんでもできるわけじゃないと思う。誰のためにでも生きられるわけじゃないと思う。
でも、自分のできることを、もし近くにいる人に分けてあげられるなら、それは幸せだ。
『夏が僕を抱く』豊島ミホ著
地球はまるい。
でも海はこぼれたりしない、大地がペリッと剥がれ落ちることもない。
時々思う。引力は神さまがひっぱる力なんじゃないかと。
だから、死んだら空の上に行く、というのはきっと 神さまの力に勝てなくなった魂がふーっと引っ張られてしまうことなんだと思う。
ほんとうは背中に透明の糸がついていて、いつでも神さまはひょいっと上に持ち上げられるように準備をしている。
誰かの糸がからまったりするとほどくのに必死になってしまって、うっかりもう片方で抱えていた別の人間を地球の外へ持ち上げたりするのかもしれない。
取り上げるつもりのなかった命はきっと無数にある。
そうじゃないと、やりきれない。