昨日に手を振って
昨日に手を振って、明日におじぎする。
びっくりするくらい当たり前のことが、ものすごく大変になるときがある。
夜灯りを消して眠るとか、「またね」と手を振って笑顔で別れるとか。
口が動いてるのは分かる、でも何を言っているのか頭に残らない、とか。
話を聞く回路のスイッチが切れてしまっていて、ぱくぱくと開いたり閉じたりするその様子だけ見てしまう。
大人になったのに、いちどに二つのことができない。
だけど、せめてちゃんと昨日と迎える明日には挨拶しよう。ぺこり。