20161006_31°C
明るい電車に乗る。
ガタンゴトン、と心地よい揺れとともに、薄い人の影もぐらんと揺れる。
Takagi Masakatsu - ももいろのほほ - Piano (Momoiro no Hoho)
高木さんの曲を聴きながら吉本ばななさんの小説を読んでいると、感受して生まれた小石みたいなつぶつぶが外にコロンと生成されていくような感覚になる。
胸を突く一音が、体じゅうに伝線した。
「もうちょっと自分のこと、考えてもいいのに」
人の顔色ばかり気にしていた様子を心配した友人が、高校生の頃のわたしの顔を覗き込む。
分からなかった。あのとき、なんであんな風に言われたのか。
気にしてなんてないよ。すきなように生きてるよ。
嘘じゃなかった。
でも、自分の物差しがなかった。
自分が幸せだと思ったらそれはしあわせなんだ、と今のわたしに父は言った。
ほんとうに、その通りだと思う。
思い描いた未来よりも、今のほうがずっとすきだから。
7年後のわたしはちゃんと物差しもしあわせも持ってるよ。