春の熊くらい
「君が大好きだよ、ミドリ」
「どれくらい好き?」
「春の熊くらい好きだよ」「春の熊?」と緑がまた顔を上げた。「それ何よ、春の熊って?」
「春の野原を君が一人で歩いているとね、向うからビロードみたいな毛なみの目のくりっとした可愛い子熊がやってくるんだ。
そして君にこう言うんだよ。『今日は、お嬢さん、僕と一緒に転がりっこしませんか』って言うんだ。そして君と子熊で抱きあってクローバーの茂った丘の斜面をころころと転がって一日中遊ぶんだ」
本は大好きなのに村上春樹を読んだことがなくて、先月職場の人が貸してくれて初めて読んだ。
わたしが高3のときに仲の良かった女の子が面白いけれどわたしにはまだ早いと言っていたのを思い出す。
本の魅力は、歳が変わったときに読み返すと違った感覚を味わえることにある。
今回の感想は、とにかく春の熊くらい好きだよ、のシーンの素敵さ。
このシーン、好きになりすぎて借りてる本なのに思わず線を引いてしまいそうだった。
それにしても、あの子の言う通り高校生のときに読んでたらすごくどぎまぎしただろうし、何よりその子が面白かったと言っていたのがすごい。
年末やることもいっぱいあるけれど、読んだことない作家のひとの本読んでみようかな。
おすすめの本あったらぜひ教えてほしいです。